まいど!シンガーの北 如来那(きたゆきな)です!
歌の練習をしていると「あれ、意外と声が出ていないな」と感じるとき、ありますよね。
声量の大きいシンガーはみんなの憧れ。でもこんな悩みを抱えていませんか?
- 頑張って声を出しているのに大きな声が出ない
- バンドの演奏に声量が負ける
- カラオケで自分の声が聴こえない
- 大きな声の出し方がわからない
私はこれまで300人以上ボーカルレッスンをしてきましたが、このような悩みを抱えている方は多くいらっしゃいました。
そこで今回は、声量を上げる簡単なトレーニングをご紹介します。
誰でも今すぐできる簡単な方法です。ぜひ一緒にやってみましょう!
※声量については以下の動画でも解説しています。
声と声量の仕組み
声量を上げたいけど、喉にばかり力を入れていませんか?
でも力を抜くと声がカスカスのか細い声になってしまいますよね。
声を出すためには適切な場所に力が入り、適切な場所で力が抜けていることが必要です。
ということで、まずは声が出る仕組みを理解しましょう!
声が出る仕組み
そもそも声はどのようにして出るかご存知ですか?
よく「喉を開く」と言われますが、「喉を開く」ことに意識がしてしまい「あくびをしたような声」になっている人がたくさんいます。
声は喉を開いて出るのではなく、「声帯が閉じる」ことによって出ているのです。
では声帯がどこにあるかご存知でしょうか?
こちらの図を見てください。
このように喉のには2つの管があります。
「空気が通る道(気管)」と「食べ物や飲み物が通る道(食道)」です。
そして声帯があるのは気管側、ピンク色で囲んだ部分です。
では声帯はどんなふうになっているのでしょう?
こちらの図を見てください。
声帯はこの青色で示した部分。(画面の下側が体の前方です)この部分に空気が通ることによって声帯が振動し、声が出ています。
「喉を開いて」とよく言われますが、これは比喩的な表現です。実際は声帯が「閉じる」ことによって声が出ているんです。
また「喉から声を出してはいけない」と言われることもありますが、声は喉から出ています。
声帯が閉じ、十分に振動していると「喉を使っていない」ような感覚になるだけです。
「力が入りすぎている」もしくは「力を抜きすぎている」状態だと、声帯が十分に振動せずに喉が痛くなり、うまく声が出てなくなります。
よく「喉声」と言われますが、これは喉に力が入りすぎている状態のことを指しているんですよ。
呼吸が声を楽にする
声は声帯が閉じ、そこに空気が通ることで声帯が振動して声出ています。
つまり呼吸を楽にすることが声を楽にすることにつながっていくのです。
でも「腹式呼吸で楽になるんじゃないですか?」と思う方もいると思います。
確かに腹式呼吸は正しいのですが、腹式呼吸は決して声を楽にする方法ではありません。
気になる方もいると思うので、次は腹式呼吸について詳しく解説します。
腹式呼吸を意識してはいけない
腹式呼吸とはなんですか?と質問すると、ほとんどの人は「お腹で息をすること」と答えます。
これが大きな勘違いです。
腹式呼吸という言葉が、みなさんの声の悩みの原因になっていると言っても過言ではありません。
なぜなら空気はお腹に入らないからです。
どこに空気が入るのか
ここでみなさんに質問です。
呼吸はどこでしているでしょうか?
正解は「肺」です。
では次に
肺はどこにあるのでしょうか?
肺がある位置を触ってみてください。そしてゆっくり息を吸ってみましょう。
そのときの感覚を覚えておいてください。
では実際の肺の位置を見てみましょう。
少し紫がかっている部分が肺です。
上は鎖骨(さこつ)の少し上、下は鳩尾(みぞおち)の少し上くらいにあり、背中まで広がっているのがわかります。
イメージよりも上にあったのではないでしょうか?
多くの人が肺の位置を勘違いしていて、実際よりも小さく捉えています。
そして図を見てわかるように、肺はお腹にはないですよね?
つまり、腹式呼吸は肺がお腹にないのにもかかわらず、一生懸命お腹に息を入れようとしているのです。
そうすると体がうまく使えず、呼吸が楽にできません。
さて、正しい位置をイメージしながらもう一度息を吸ってみてください。
呼吸が楽になった感じがしませんか?
横隔膜とは
さきほどの図を見ると肺の下に赤いものがあるのがわかります。
これが横隔膜という呼吸を手伝ってくれる筋肉です。
横隔膜は肋骨(ろっこつ)の下にドーム状に広がっている筋肉。ゆっくり息を吸うと肋骨 (ろっこつ) が外側に広がり、吐くと元に戻ります。
この動きに合わせてドーム状になった横隔膜は息を吸うと下がり、吐くと元に戻るのです。
これが腹式呼吸、別名「横隔膜呼吸」です。
息を吸うと横隔膜が下がり、内臓が押し出されてお腹が膨らみます。
決してお腹に息が入っているわけではないんです。でも楽に呼吸をするとお腹に息が入ったような感じがします。
よく腹式呼吸は胸を動かしてはいけないと思っている人がいますが、これは大きな間違い。ゆっくり息を吸うと肋骨 (ろっこつ) が動くので、肩や胸が自然に動きます。
むしろこの動きを止めてしまうことは呼吸を浅くしてしまうことになりかねません。
胸を押さえつけて固定して呼吸するのは絶対にやめましょう。
ここまでで呼吸が理解できましたね。
呼吸に関しては動画でも解説しているので参考にしてください。
声は反響させると大きくなる
声の出し方、呼吸がわかったから、次は声を響かせる方法です。
「おーい」と遠くの人を呼ぶときに口に手をかざして声を出しますよね。
これは声が手の中で反響しているから大きくなっているのです。
でも流石に声を出すときに毎回このポーズを取れないので、体の中で響かせていきます。
では鼻の横、小鼻のあたりを触りながら「ん〜」とハミングしてみてください。
鼻のあたりがビリビリ振動しているのがわかりますか?
今響いていたのは鼻の奥にある鼻腔(びくう)という場所です。(図の青色の箇所)
今度は同じところを触りながら「あー」と声を出してみましょう。
どうですか?鼻は振動していますか?
響いた人、響かなかった人、それぞれだと思います。
実は「あー」と出したときにも「んー」と同じように鼻のあたりが響くと声が通りやすく、大きな声が出やすくなります。
ただし、鼻腔(びくう)だけが声量を上げる要因ではありません。声量を上げる一つの方法が鼻腔を響かせることだと覚えておきましょう。
ため息をついてみよう
暗い気持ちでため息をついてみましょう。
なんだか声が胸のあたりから出た感じがしませんか?
今度は温泉に入ったつもりで「は〜」と声を出してみましょう。
顔の上の方から声が出た感じがしませんか?
このように声は声帯から出ていますが、「声の高さよって声の通り道を感じる場所が違う」ということを覚えておいてください。
低い声は胸の方に、高い声になればなるほど頭の方に響く場所が変わっていきます。これをコントロールすることが重要です。
声を出すときに音の高さによってどのあたりが響いているか、体を触りながら感じてみてください。
しっかり響いていれば声が大きくなり、喉にも負担がかからないのです。
声量が小さい原因
なぜ声量は小さくなってしまうのでしょうか?
「もともと声が小さいから」「遺伝だから」「歳だから」と諦めている人がいると思いますが、安心ください。
私の生徒さんには75歳でレッスンを受け始めて声量がアップした人がいます。
つまり声が小さくなるのには原因があります。その原因は次の3つです。
- 姿勢が悪い
- 呼吸が十分にできていない
- 声帯を閉じる筋肉が鍛えられていない
姿勢が悪い
あらゆる声の悩みは姿勢が解決してくれると言っても過言ではありません。
正しい姿勢はいい声を作ります。
姿勢についてはいろいろありますが、主に次の3つを気をつけましょう。
- 力を抜きすぎている
- 左右どちらかに“休め”の姿勢になっている
- 重心が前に傾いている
力を抜きすぎている
多くの人が陥りやすいことが「力を抜きすぎた姿勢で歌うこと」です。
リラックスしすぎた状態になり、お腹を前に突き出したような姿勢になります。
いわゆる「猫背」ですね。
頭は前に出た状態になり、この姿勢で声を出すと喉がグッと締まりやすくなります。
また、猫背で呼吸をすると肋骨(ろっこつ)が十分に動かないため横隔膜が下がりません。
つまり呼吸が浅くなり、声量が小さくなるのです。
そして、力を抜きすぎているために声帯が十分に閉じず、声が掠れてしまいます。
左右どちらかに“休め”の姿勢になっている
左右どちらかに体重を預けて“休め”の姿勢になっていませんか?
“休め”の姿勢 は立っているのは楽なのですが、リラックスしすぎて体がうまく支えられません。
しかも左右どちらかに重心が傾くことにより、変なところに力が入ってしまうのです。
体が歪んだ状態になり、コントロールがより難しくなってしまいます。
重心が前に傾いている
スマホを見たり、パソコンを見たり、日常的に重心が前に傾いていませんか?
重心を前に傾けて声を出そうとすると、あごがグッと前に出た状態になり喉が引っ張られてしまいます。
これも力を抜きすぎている姿勢と似ていますね。
そして重心が前にあるため、喉のあたりにも重心がきてしまい、力を入れたつもりがないのに力が入ってしまうことがあります。
重心は体のちょうど真ん中に来ているとしっかり体を支えられ、正しいところに力が入り、正しいところで力が抜けます。
呼吸が十分にできていない
繰り返しになりますが、呼吸が十分にできていないと声が小さくなってしまいます。
では「呼吸が十分にできていない」ということはどういうことなのでしょうか?
それは呼吸するための身体の動きができていないということです。
具体的には
- 息を吸うと肋骨(ろっこつ)が広がる
- 息を吐くと肋骨(ろっこつ)が元に戻る
この動きができていないと呼吸が浅くなってしまうのです。
しかし声は日常的にしっかり呼吸をしなかったり、ストレスにより呼吸が浅くなったりします。
それによって呼吸がうまくできず、声が小さくなってしまうのです。
十分に呼吸できるようにするトレーニングは 「声量を上げる簡単トレーニング」 の章で説明します。
声帯を閉じる筋肉が鍛えられていない
声帯は閉じることによって声が出ていますが、この閉じるのにも筋肉を使います。
日常的に声をあまり出していない、声を出してもか細い声で話している人は、声帯を閉じる筋力が弱まっているのです。
これは「姿勢が悪い」「呼吸が浅い」というのも原因になっています。
ですが、声帯も筋肉なので鍛える方法があります。それでは次の「声量を上げる簡単トレーニング」で解説します。
声量を上げる簡単トレーニング
ここからは声量を上げる簡単なトレーニングをご紹介します。
具体的なトレーニング方法は次の通りです。
- 姿勢を良くする
- 呼吸を改善する
- 声の響きを感じる
姿勢を良くする
良い姿勢を保つには「頭から棒が刺さったように立つ」「頭から釣られたように立つ」「 壁にピタッと背中をつける」と思っていませんか?
実はこれ、間違っています。
なぜなら背骨は緩やかにS字を描いているからです。
これに対して「まっすぐ」という言葉を使うのは、体を窮屈にしてしまうことにつながります。
姿勢についてはこちらの動画を参考にしてくださいね。
呼吸を改善する
呼吸が浅くなっている原因は次の2点が原因です。
- 呼吸のことを理解できていない
- 呼吸をするための筋肉が使えていない
ここまで読んでくださったみなさんは、ずいぶん呼吸のことが理解できましたよね。
では呼吸をするための筋肉はどのように鍛えれば良いのでしょうか?
「呼吸する筋肉を鍛えるトレーニング」をご紹介します。
トレーニングの内容は次の通り。
- 正しい姿勢で立つ(姿勢は前の内容を参考に)
- 肋骨(ろっこつ)の下の部分を触りながらゆっくり息を吸って吐く
- 肋骨(ろっこつ)の動きが感じられたら、もう一度ゆっくり息を吸う
- 息を吐く!もうこれ以上無理!というところまで吐く
- そこからさらに一息「フッ」っと息を吐いて、吐き切る
これを5回くらい繰り返してください。(あんまりやりすぎると頭がクラクラするので気をつけましょう)
お腹がギューっとなるくらいまで息を吐くと自然と息が吸えるのがわかりますか?
通勤・通学中でもできるトレーニングです。ぜひやってみてください。
続けていくと呼吸が楽になっていきますよ。
声の響きを感じる
声の響きを感じながら声を出すと、とても楽に声が出て声量も大きくなります。
響きを感じるためには、まず顔を手で触ってください。
そして「いー」と声を出してみましょう。頬のあたりが振動しているのがわかりますか?
振動を感じていることが重要です。
そしてピアノの音に合わせて順番に声を出していきましょう。(ピアノのアプリでもOK)
このときに喉に違和感がないかが重要です。
・喉がチリチリする
・喉がカスカスする
これらの違和感がある場合は「喉に力が入りすぎている」もしくは「力を抜きすぎている」状態です。
まずは響きを感じられる状態で声を出していきましょう。
繰り返していくと、どんどん声が響くようになります。
さて、ここまでで「一人じゃむずしい!」と感じた方もいらっしゃると思います。
そんな方には「基礎連動画」も用意しています!
550円と有料になっちゃいますが、一回買うだけで一生基礎連ができる動画です。
ぜひ練習に使ってみてください!
基礎連動画のダイジェスト版はコチラ
独学で声量を上げることはできるのか
最後に「独学で声量を上げることはできるのか」という疑問にお答えします。
結論からいうと、独学で声量を上げることはできます。
ただし正しい練習しないと声量は上がらないし、喉を痛めてしまう可能性があるので注意が必要です。
YouTubeやブログなどでたくさんの情報がありますが、その中には間違っているものもあったり、練習法を勘違いしてしまっていつまで声量が上がらないことがあります。
なので私はレッスンを受けることをおすすめしています。
喉が少しでも痛いと思ったら練習はやめましょうね。
【まとめ】声量を上げたい人は北如来那ボーカルレッスン体験レッスンへ
北如来那(きたゆきな)ボーカル教室では、この記事で解説したような声を出すための体の使い方を丁寧に教えていきます。
オンラインレッスンなので、どこにお住まいでもインターネット環境さえあればレッスンが可能です。
少しでも気になった方はお気軽にご連絡ください。
趣味で受ける方も、もちろん歓迎です!
生徒さんの多くは趣味で声を改善したい、歌がうまくなりたい人ばかりです。
お問い合わせは下記のリンクから受け付けています。